千願あれど

13/14
前へ
/14ページ
次へ
しばらくして また青年は老婆を背負い、 娘は二人の足元を見守りながら 一段一段ゆっくりと 百八つを下り始めた。 三人の後ろ姿を 狛犬兄弟はしっかと台座から、 アツシマミムロは 鳥居の中程から・・・ いついつまでも見送った。 宮は漆黒の静寂・・・、 片隅で秋薔薇は 身を震わせて・・・ 花弁を露に濡らし続けた。             ー 了 ー
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加