千願あれど

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「長い月日であったなあ」 少しずつ近づいてくる老婆の顔に アツシマミムロは感慨無量。 「母親だけでも長生きを  されてよろしゅうございました」 「そうとも❗セイ。俺達の  先の狛犬さまも地震や風雨に  曝されて、七十年もここには  踏ん張っておれなかったと  きいておるのに・・・・」 「足腰こそ弱っておられるが  血色のよいことよ・・・  それに何より・・・・・」 言葉の途中にアツシマミムロは こちらへ登り来る青年と娘の顔を 改めて見て 「若き日の御二人にそっくりだ。  幼かった子供たちから曾孫まで  “血”が脈々と、続いていて  くれたとは・・・・・」 振り返り、己れの社と山緑に アツシマミムロはお辞儀した。  
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