39人が本棚に入れています
本棚に追加
「長い月日であったなあ」
少しずつ近づいてくる老婆の顔に
アツシマミムロは感慨無量。
「母親だけでも長生きを
されてよろしゅうございました」
「そうとも❗セイ。俺達の
先の狛犬さまも地震や風雨に
曝されて、七十年もここには
踏ん張っておれなかったと
きいておるのに・・・・」
「足腰こそ弱っておられるが
血色のよいことよ・・・
それに何より・・・・・」
言葉の途中にアツシマミムロは
こちらへ登り来る青年と娘の顔を
改めて見て
「若き日の御二人にそっくりだ。
幼かった子供たちから曾孫まで
“血”が脈々と、続いていて
くれたとは・・・・・」
振り返り、己れの社と山緑に
アツシマミムロはお辞儀した。
最初のコメントを投稿しよう!