21人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
#001 序にかえて ― ハキダメギク ―
さて突然ですが、
この花を、ご存知でしょうか?
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、こちら、なんと
ハキダメギク
というのだそうです。
キク科コゴメギク属。
かの著名なる日本の植物学者・牧野富太郎氏が世田谷の掃きだめ地で見つけて命名したという話を以前、聞いたことがありました。
ゴミだらけの中にささやかに、しかししぶとく咲いていたという所が何だか、私的にツボでした。
こちら、アップです。
どうです?
なんだか子どもの絵にありそうな単純さ、さりげなさではありませんか?
そしてよく見ると、とても愛らしい花なのです。
牧野氏は、そのほかにも日本のささやかなる植物たちにたくさんの名前をつけて(イヌノフグリとかノボロギクとか)、日本の植物界のお父さん的な感じがしまして、かなり気になる方ではあります。
彼がこの花を最初に発見した時、きっと、ごみ溜め近くで足をとめ、二度見し、三度見してからやおら屈みこみ、
「……?」
と顔を近づけ、さらにまじまじと眺めてから
「ふーむ……」
しばし熟考し、それからまた顔を近づけ上から下から眺めまわし
「……!!」
急に飛び上がり、それからまた地に這いつくばって
「オ、オマエは……っ!」
と花を指の間に挟み、
「こんな掃きだめに咲くとは……そう、オマエはハキダメギクだ!!
今からオマエの名前は、ハキダメギクだ!!」
と興奮して叫んだ、とか(完全なる妄想)。
とにかく私も、したたかに咲く花は大好きです。
今後はこんな感じで、ダラダラ少し続けたいかと。
また良かったら、寄ってください。
最初のコメントを投稿しよう!