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「だから、中身は私以上に女子なのよ。もう全身これ女子力のカタマリなんだから!」
頭がクラクラしてきた。柚子穂のクズ野郎、ほんとにただじゃおかないからね、このおかめひょっとこドサンピンが!
だけどふたりの前で私はただへらへらと笑うことしかできなかった(なんで?)。
「じゃあ、ななおちゃん約束ね」
柚子穂の快活なダミ声が、からっぽの私の脳内に木霊する。
「うん、約束するわ」
私は半ば強制的に友人代表スピーチの大役を仰せつかった。
……しかし。このままじゃいけない。
隆磨さんへの愛は私の中の真実。彼への献身は私の魂の希求。いまここで隆磨さん獲得のための闘いの狼煙があがるの。
そう、私は決してあきらめない。私の愛しいバッカス・デュオニュソスが最後に抱きしめるのは柚子穂なんかじゃない!
その栄光は私、萩尾那尚のものよ。
勝つも負けるも時の運……。柚子穂、あなたにロックオンよ!
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