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龍源寺の行動は迅速かつ的確だった。4月に入ってすぐ、龍源寺は彼のマンションの場所(三軒茶屋)や愛車(BMW 7シリーズ)、好きな寿司ネタ(えんがわとウナギ)、ペットの猫の名前(魔太郎)、本屋で立ち読みしていた文芸書のタイトル(『高慢ちき女課長の甘い吐息と罠』)など、じつに様々な情報を私のもとにもたらしてくれた。
5月になると龍源寺は少し困った顔をしながら私のもとに馳せ参じた。
「ななお様……」
「どうしたの?」
「……じつは少し困ったことが……」
「なに? どうしたの?」
「はい、じつは如月様のお勤めになっている会社のことなのですが……」
「……ああ、確か日本フローレンス株式会社ですわね。一部上場の超優良企業でしょう? 東南アジアや欧州、北米なんかの会社と大規模な取引をしているあの総合商社でしょう?」
「……はあ、しかしながら……。如月様の生活スタイルをいろいろと調査しておりますと、どうも如月様がお勤めになっている会社は……日本フローレンス株式会社ではないようなのです」
「えっ、ど、どういうことかしら」
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