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「ななおちゃん、恩に着ます! ななおちゃんは私の大親友だもんね。小さなころから一緒に遊んでいた幼馴染、そして26歳になった今でも変わらぬまま、ずっーといい友達関係が続いている。
ななおちゃん、あなたは私の誇りよ!」
なぜか柚子穂は少し涙ぐんでいる……。
「ははははは、本当に君たちは仲がいいよな。僕が嫉妬してしまうくらいさ」
王子の屈託のない笑顔が太陽のように輝く。
「うふふふ、確かにななおちゃんは異性だけど、なかみはまるまる女の子だもん。ねえ、ななおちゃん?」
「ふふふふ、そうね」
だから、どうだっていうの、柚子穂? 確かに私の肉体的性別は男よ。萩尾那尚よ。でもあなたみたいな醜い女にはすべてにおいて勝っているのよ。
「だって、見た目も勇ましいもの。短く刈り上げた頭髪、武骨な無精ひげに筋肉質な躰。ななおちゃと腕を組んで歩いていると、みんなが道をよけてくれるの」
無精ひげ? ただたんに日中に延びちゃうだけで毎朝、ヒゲ剃ってるけど?
「うん、だから僕も初めて萩尾くんと会ったとき、正直、少し気おされちゃったよ。柚子穂の幼馴染で「ななおちゃん」っていう名前だって聞いていたから、てっきり女性だと思っていたんだけど」
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