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「えっ……私、」
腕や足、身体を見てみた。
何も怪我していない。
周りを見ると、大きく道を反れた馬車が、私の側に停まっていた。
「坊ちゃま、怪我はないようです。」
坊ちゃま?
私は馬車の中を覗いた。
そこには、目鼻立ちがスッとしている、美男子の人が座っていた。
私は失礼なくらいに、その吾人に見惚れていた。
「そのお嬢さんを中へ。」
「へい。」
私の隣に立つ人が、馬車のドアを開けてくれた。
「坊ちゃまが、中に入れと仰っています。」
「私が馬車の中に?えっ!?」
私は、手の中の薬を、ぐしゃりと握った。
「さあ、早く。」
背中を押され、私は急いで馬車の中に乗った。
「お嬢さん。驚かせてしまって、申し訳ない。お詫びに家まで送らせてくれないか。」
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