第1話 妾にならないか

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「えっ……私、」 腕や足、身体を見てみた。 何も怪我していない。 周りを見ると、大きく道を反れた馬車が、私の側に停まっていた。 「坊ちゃま、怪我はないようです。」 坊ちゃま? 私は馬車の中を覗いた。 そこには、目鼻立ちがスッとしている、美男子の人が座っていた。 私は失礼なくらいに、その吾人に見惚れていた。 「そのお嬢さんを中へ。」 「へい。」 私の隣に立つ人が、馬車のドアを開けてくれた。 「坊ちゃまが、中に入れと仰っています。」 「私が馬車の中に?えっ!?」 私は、手の中の薬を、ぐしゃりと握った。 「さあ、早く。」 背中を押され、私は急いで馬車の中に乗った。 「お嬢さん。驚かせてしまって、申し訳ない。お詫びに家まで送らせてくれないか。」
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