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「家まで!?」
あんなあばら屋に、こんな素敵な馬車が来たら、お母さんびっくりしちゃう!
「いえ、近くまででいいです。」
「そうか。じゃあ、近くまでとしよう。」
そして馬車は、動き始めた。
私はそっと、吾人を見た。
長い髪を、一つに結わえていて、身体も細い。
ずっと馬車から外を眺めていて、その横顔も美しかった。
「あっ、ここで。」
私がそう言うと、馬車はゆっくりと停まった。
「まだ大通りじゃないか。」
「いいんです。ここの近くなので。」
そう言って私は、馬車を降りた。
「ありがとうございました。えーっと、お名前は……」
すると吾人は、ニコッと笑った。
「小沢保だ。また会おう。」
そして、馬車は言ってしまった。
「はぁー。」
私はため息をつくと、大通りの裏手にある家に向かって、歩き出した。
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