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「どうしたの?」
小沢さんの優しい声を聞いて、また涙が出た。
「僕でよければ、力になるよ。」
小沢さんはそう言って、ニコッと笑った。
私はそんな小沢さんを、信じてみようと思った。
「母の病気が、酷くなってしまって……」
「病院には行ってるの?」
「父に知られるのが嫌だって、行かないんです。」
私が涙を拭いているのを見て、小沢さんは私の手を握ってくれた。
「どうして……お父さんに知られると良くないのかな。」
「父は、この辺じゃ名の通った貴族なんです。母は、そのお妾さんで……世間体を気にしているんです。」
すると小沢さんは、私の涙を拭ってくれた。
「僕が、お母さんを病院に入院させてあげるよ。」
「本当に!?」
私はすごく驚いた。
だって、小沢さんとはこの前知り合ったばかりなのに。
なのに、どうしてそんな事を?
「その代り、僕のお願いも聞いて欲しいんだ。」
「何ですか?何でも聞きます!」
私は本当に、母の為なら、何でもしようと思った。
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