第1話 妾にならないか

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だけど、その願いは意外なものだった。 「僕の妾になってくれないか。」 私は、ハッとした。 「この前会ってばかりだけど、一目で君だと思った。君が欲しい。」 驚いている私を、小沢さんはそっと抱き寄せた。 「って言ってもね。カモフラージュなんだ。」 「かも……ふらー?」 「カモフラージュ。見せかけって事だよ。」 小沢さんの優しい目が、私を射抜く。 「僕は25歳になるんだけど、まだ結婚をしていないんだ。早く結婚をして、跡継ぎを作れとうるさくてね。そこでだ。君という妾がいると知ったら、父もうるさく言わなくなると思うんだよ。」 私は下を向いた。 妾って事は、母と同じように、父が来るのを待つ身。 決して、報われない関係だって、知っている。 でも、それで……お母さんが入院してくれれば! 「本当に、母を入院させてくれますか。」 「ああ、約束する。」 小沢さんは、小指を出した。 「約束げんまんだよ。」 「はい。」 私はドキドキしながら、小沢さんの小指に、自分の小指を絡ませた。
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