27人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃ何?あなたは私のサイズが13号だって言うの!?上の人を出しなさい。あなたじゃ話にならない!」
後ろの電話から怒鳴り声がだだ漏れている。
新人の古賀ちゃんの声はもう消え入りそうだ。
私は、自分の電話のご注文を早送りで終わらせた。
古賀ちゃんの方へ振り返る。
私は、思いっきり前歯をむき出し、鼻をピクピクさせて変顔でOKサインを出し、電話を寄越せと合図をした。
古賀ちゃんは泣き笑いで受話器を私にバトンタッチ。
電光石火。
「はい、お電話かわりました。主任の村上です。松沢様、いつもお世話になっております」
私は勤続十年、名ばかりの主任。
いつもはふんぞり返っている課長は、雲行きが怪しくなると見事に姿を隠す。
松沢様はうちのお得意様。
11号のコスチュームに、身体を破裂しないように押し込むことに命を懸けている。
最初のコメントを投稿しよう!