歯車日記

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「それじゃ何?あなたは私のサイズが13号だって言うの!?上の人を出しなさい。あなたじゃ話にならない!」 後ろの電話から怒鳴り声がだだ漏れている。 新人の古賀ちゃんの声はもう消え入りそうだ。 私は、自分の電話のご注文を早送りで終わらせた。 古賀ちゃんの方へ振り返る。 私は、思いっきり前歯をむき出し、鼻をピクピクさせて変顔でOKサインを出し、電話を寄越せと合図をした。 古賀ちゃんは泣き笑いで受話器を私にバトンタッチ。 電光石火。 「はい、お電話かわりました。主任の村上です。松沢様、いつもお世話になっております」 私は勤続十年、名ばかりの主任。 いつもはふんぞり返っている課長は、雲行きが怪しくなると見事に姿を隠す。 松沢様はうちのお得意様。 11号のコスチュームに、身体を破裂しないように押し込むことに命を懸けている。
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