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神奈子にとって遼との毎日は先の見えないギャンブルだった。
神奈子が身体を使って稼いだ金は倍にしてやると握りしめ遼はいつも勝負に出かけて行く。だが勝利した時はまだいい。玄関をあけた途端、神奈子を力一杯抱きしめディープキス。腕に通したままの紙袋の中身は神奈子の好物のチョコレート。満タンの景品から漏れ出す甘い香りの中で冷めやらぬ男の興奮を舌先で激しく伝える。
だが持ち金が全て泡となり消えた時はひたすら憤りを神奈子に当たり散らした。だが決して稼ぎ頭の商品となる顔や身体は傷つけない。神奈子がボロボロになるまで身体を蹂躙し愛の無い性行為を繰り返す。快楽を貪りつくした末、一服の煙草の煙と同時に吐く遼の台詞。
「お前もコレが好きなんだろ。」
......屈辱。
だが、神奈子は抱かれる事で満たされ、プライドは違う形に変わる。
遼の心は私に無い。愛しているのは私の身体と金。だけど私は遼を愛している。繋ぎとめれるならどんなビッチにでもなる。
だっていつか彼は変わってくれるかもしれない。平穏な幸せを求めてくれるかもしれない。例えば赤ちゃんでも出来たら変わるのかもしれない。何かのきっかけがあればきっと。
ああ、神様。お願いします。
年齢を重ねる度に老いていく肌と身体。
髪も自分自身も艶を無くしていく不安。女としての魅力が失われてしまえば遼も離れてしまう。
神奈子はもう神に祈るしかなかった。
それがどうしようもない現実の中での気安めの儀式だとしても。
幸せが欲しい。愛が欲しい。
純粋に私を愛し、私も愛する。
そんな幸せが欲しい。。
神様お願い。私に真実の愛を。
神奈子は畳に投げ捨てられた引き裂かれたキャミソールを握りしめ首を上げた。カーテンの間から差し込む月明かりが化粧が剥がれた顔と体液に濡れた全裸を照らす。窓の外は遼が消えたネオンの街明かりだけ。だが神奈子は膝をつき頭を垂らし一心に窓の外の神に向け強く祈りを捧げた。
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