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「失礼やな!!なんやその顔は!言っとくけどワテは今まで嘘なんてついた事一回もあらへんからな!!本物!正真正銘の本物や!」
銀髪の男は蓮人の疑いの目に反応し酷く憤慨した。冷蔵庫の扉を開けたまま素早く立ち上がると今度はダイニングのフローリング上で激しく地団駄を踏むという迷惑行為を始めた。
コイツ、アパート住まいの弱点を突いてきた。
まずい!下の階の人が!
蓮人は慌てて必死に彼の機嫌を取り始めた。これ以上足音を下の階に響かせたら非常にまずい。
何故なら真下の一階に住む派手な女性に僕は嫌われているのだ。入居当時、夕方に部屋の模様替えを思いつきダイニングのテーブルを少しだけ引き摺った。......その3分後だ。
『こんな時間に非常識よ!』
と近所に響き渡る大声で女性が怒鳴り込んできたのだ。それからというもの日が沈んでからは僅かな足音でも管理会社に苦情を言う。
正直半分ノイローゼだ。きっとあの女性は見た目がひ弱そうな僕を舐めている。
「仕方ないなぁ。もう一回証拠を見せたる。お触りは厳禁やで。」
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