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男というのは背伸びをしたくなる生き物だと思う。それが愛する人が相手なら尚更だ。
だがその弱さゆえに引き起こした間違い。
この花束は僕の偽りの無い懺悔の気持ち。混ざりけの無い純白な想い。
蓮人は手際良く作られた純白の花束を店主から受け取った。フィルムに包まれた小さな雪景色。そっと差し込まれたクリスマスカードと赤と緑のリボンが聖夜の愛を祈っている。
蓮人は花束を握る反対の左手でダウンジャケットのポケットの中をまさぐった。
取り出したのは小さな懐中時計。
金の懐中時計の文字盤はネイビー。小さめのシルバーのローマ数字。同色のシルバーの針先のスペード形が特徴的で更にずっしりとした本体の重さが高級感を出している。
僕の【金色の懐中時計】がおこす【嘘】。
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