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蛇は蓮人が抱き抱える純白のカスミソウの花束を見て口角を上げた。
「それの花言葉を知ってますかいな?」
蛇は蓮人の返事を待たずにドヤ顔でその意味を告げる。
「【幸福】ですわ。そしてもう一つは【純潔】」
「蛇、何が言いたいんだ。嫌味か。」
蛇の【純潔】の言葉は蓮人の抱く罪悪感を刺激し表情を曇らせた。だが蛇はお構いなくドヤ顔のまま蛇はゆっくりと蓮人に近づき独自の講釈を垂れ始める。
「ワテは【幸福】と【純潔】はイコールとは思わん。バラすのはかまへん。それが簡単に許される『嘘』ならな。そやけど......大体は自分の為の『嘘』は許されへんもんなんやで。」
やがてお互いの鼻がつくほど密に接近した二人の顔。
クリスマスツリーの灯を背に受け自分を見下ろす蛇の表情はいつもの軽い含み笑いではない。
......まるで悪魔。
その恐ろしい形相に蓮人は驚きと恐怖で思わず身体を後退りし手に汗を滲ませた。
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