それから

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春。 一葉の手術は成功した。 七瀬は1年遅れで専門学校に通い始めた。 相澤の反対を押し切って、自立のためのバイトも始めた。 でも、こうして、今も相澤の部屋に通っている。 「七瀬、結婚しよ」 汗だくだくで荒い息のまま今日も相澤が言う。 「んー…。どうしよっかなー」 気のなさそうな対応に相澤が狼狽えて、裸の七瀬を捕まえる。 ぎゅっと抱きしめて、七瀬の顔を上向けた。 「七瀬!」 困った顔ーー。 ぎゅっと抱きしめ返して、七瀬は相澤の首元に顔を埋める。 ーー神様、…ありがとう。 相澤の耳元に唇を寄せ、七瀬が囁いた。 たった、3文字を。 【終わり】
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