WINーWIN

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「瀬戸も行くだろ?同窓会」 「…行くかよ」 呑気な笑顔にイラついて、瀬戸七瀬(せとななせ)は煙草に火をつける。 「おい、ベッドで吸うな未成年」 「るっせ」 七瀬はカラダを隠しもせず、うつ伏せに横たわったままタバコを咥える。 まだ汗の引かないカラダにバスローブを引っかけて、シャワーを浴びに行く相澤(あいざわ)は苦笑する。 「…瀬戸は女の子だろ」 「黙れハゲ」 「剥げてないわ」 七瀬は深く煙を吸うと、ふうっと吐き出す。 「アイザック…絶倫男はいずれハゲる運命なんだよ。諦めろ」 「ふ…俺、男性ホルモンは多くないと思うが」 相澤和佳(あいざわわか)は、思わずふき出す。 「チッ」 「はは…絶倫か…誉め言葉だな」 機嫌良さげに、バスルームに向かう相澤。 「…変態」 「ここで暮らせよ。 そしたらお前を24時間ヤリ放題」 「…今すぐ剥げろ」 笑い声と共に、バスルームの扉が閉まる音がして、シャワーの音に混じって相澤の鼻歌が聞こえる。 「…」 開けっ放しのカーテン。窓の向こう、小春日和の日差しが眩しくて、七瀬は片目をつぶった。 相澤は、七瀬が卒業した高校の教師だ。 卒業してすぐ、七瀬が切羽詰まって夜の街で働こうかと悩んでいた時、街で偶然再会したのだ。 『誰でもいいなら、俺でもいいだろ?』 『金がいるんだよ。お前は貧乏だろーが』 『あいにく金ならある』 七瀬は胡散臭そうに相澤を見る。 相澤は胸ポケットから封筒を出して七瀬にお金をチラつかせた。 『やるよ』 七瀬の喉が鳴る。 『…お前、教師だろ』 『お、何だ?瀬戸のクセにマジメ発言か? 俺だってただの男だぞ』 その夜ーー七瀬はホテルで散々、相澤に抱かれた。 前払いで10万ももらった。 専属になるなら、もっと弾むと。 相澤のアレーー悪くなかった。 七瀬は、男性経験はまあまあ。 相澤は『大人の男』ーー29歳だ。 10代の男の子や中年のおっさんとは体つきから全然違う。 もちろん、抱き方もーー 力任せの若い男とは違って、自分本位ではない。 七瀬をきちんと高みへ導き、確実に追い詰めるのだ。 いや、自分が満足するまで散々抱く、という意味では完璧、自分本位なのだが。 七瀬だって、相澤でカラダは満足しているんだから、いいのだ。 相澤に逝かされてる間は、何も考えなくてよかった。
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