窮地の生徒会長

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*********** BL漫画を買うには、 一定のルーティーンを こなさなければならない。 まず、制服。 これを着て買いに いくなんて自殺行為だ。 やたら知名度の高い うちの制服を着て、 BL漫画なんぞ買えば、 どこからかその情報が うちの学校に回って 来るかもしれない。 『一条学園の制服を着た 女の子がBL漫画買ってた』 と。 それはダメ、 それはいかん。 てことだから、 制服はNGで、 ジミで目立たない 格好に着替えることが 必要だ。 そして、顔。 顔もモロ分かるような 状態ではいけない。 地味なだて眼鏡と マスクは必須アイテムだ。 隠せるものは隠さないと 溢れ出る私のオーラで 私とばれるかもしれない、 ゲフンゲフン。 どこから足がつくか 分からないのだから、 やれることは全部 やっておかないとな。 そんなわけだから、 私のBL漫画を買うときの スタイルは完全に不審者だ。 これはこれで人に バレると人生終了だが、 こんなあからさまに オタクっぽい女が 日高 凛とは誰も 気付かないだろう。 てことで、 今日も家に帰ってから、 この怪しいスタイルに 変身した。 我ながら地味すぎる。 もはや私の変装能力 素晴らしくてビビる。 これくらいしないと 万が一があるかも しれないもんね。 私はフンフンと上機嫌で 家を出ると、 足取り軽やかに本屋に 向かった。 待っててね、 耽美でエロスなBL画集!! ―――――――――― ―――――――――――――― ついたのは、 隣町の本屋。 自分の家の近所の本屋は  誰がいるか分からないから、 あえていつも遠い本屋に行く。 「いらっしゃいませー」 店にはいると、 いかにも本屋でバイトを していそうなうっとおしい 前髪のお兄さんが、 全くいらっしゃって 欲しくなさそうな声で 挨拶をしてきた。 いいんだ、これくらいの 方がちょうどいい。 客が何買うかなんて 一ミリも気にしてない ような人が店員の方が こちらには都合が 良いのだよグフフフ。 私は迷うことなく 一直線にBLコーナーに 向かった。 蜜ヶ峯ゆら、蜜ヶ峯ゆら、 目をかっぴらいて探すと、 あった・・・・!!! 本棚の上の方で、 その名前が燦然と輝く、 A4サイズのブックが!!
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