窮地の生徒会長

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冷や汗が滝のように 流れ出て、 とりあえずサッと ブックを後ろに隠した。 変な格好見られた、 変な格好見られた、 変な格好見られた、 頭の中はそれ一色。 すると武市君、 ふわりと天使のような 笑みを浮かべる。 「奇遇だね、 こんなところで会うなんて。 何してるの?」 な ん で お 前 は 普 通 に 会 話 を つ づ け よ う と し て る ん だ 今、お前は見てはならん ものを見てるんだぞ!! 日高凛の闇を見てるんだぞ!! 私はしどろもどろに なりながら何とかいつもの キリッとした表情を作る。 「えっと、 数学の参考書を買いにね、 本屋にね、来てみたのだよ、 あ、服はさ、 全部クリーニングでさ、 これしかなかったんだよね、」 んなわけあるか、 全部クリーニングとか どうした、 タンスに何が起きたんだ。 自分でも自分の言ってる ことが可笑しいのが 嫌でも分かる。 こんな言い訳がましくて、 怪しまれていないだろうか。 でも服のこと弁解せずには いられなかったんだ!! すると武市君、 目をぱちくりさせて、 くしゃっと笑った。 「そっか! 参考書買いに来たんだ? 俺も問題集買いに 来たんだよ。」 武市君、 クリーニングについては スルーでした。 これは気にしてないと言う ことで良いのだろうか、 良いんだよな、 武市君、 クリーニング気に してないと言ってくれ。 ていうか、 武市君がいると BLなご本が買えぬ・・・! 武市君、早く帰れ。 「武市君、 買いたいものは 見つかった?」 私が訊ねると、 武市君はフルフルと 首を振る。 「まだ。 でもまあ、あったら 買おうかなって感じだから そんなに切羽詰まって 買いたいわけじゃないよ?」 切羽詰まってくれよ。 私が内心こんなことを 考えてると、 武市君は目をキラキラ させてこっちを見てきた。 「そうだ! 日高さんはどんな参考書を 買おうとしてるの? 日高さん頭良いから、 日高さんの使ってる 教材知りたいな。」 私の使ってる教材は 男と男が淫らに咲き乱れる 特別教材なのだよ・・・! 薔薇の花びらが 乱舞するのだよ・・・・!! なんてもちろん 答えられるわけもなく。 「いや、とるにたらない 教材です、平凡です。」 なんて即答した。 とるにたらない教材って なんだ、買わんわ、 そんなもの。 まずい、 武市君、なかなか 帰りそうにない。 私がこの場をどうやって 切り抜けようかと考えてると、 「ちょっとすみません。」 と、かなりおデブな女性が 私の後ろを無理矢理 通ろうとした。 すると私、条件反射で 「あっ、 すみません・・・」 と、言いながら後ろの スペースを開けようとする。 開けようとして、 なにも考えずに、 なんと、 素敵なBL画集を 武市君の前にバッと 持ってきてしまった。
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