窮地の生徒会長

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冷や汗が出る段階なんて とっくの昔に通り越して、 体が冷たい。 終わった、終わった。 ばれてしまった。 私の密やかな趣味が、 こんな形でばれてしまった。 自分の中で半端ない 緊張感があって、 声すら出ない。 これからの私は いったいどうなるんだ? みんな、私に失望する? そもそも、武市君は 今何を考えてるんだ。 私が恐る恐る武市君の 方を見上げると、 武市君はしげしげと グリーンのような、 グレーのような綺麗な 瞳で画集を眺めていた。 「・・・・日高さん、 こう言うの読むの? というか、 もしかして腐女子?」 武市君の直球な問いかけに 私の体はビクッとゆれる。 こんな惨めなことが あるだろうか。 地味な格好を見られた 挙げ句、腐女子だと 看破された。 もう学校に行ける気が まったくしない。 「いっ、 いわ、いわ、 言わないで、くだ、 さい。」 震える声で、 ダメもとで頼んでみる。 明日学校にいったら、 もう噂になって 広まっているかも。 『日高さんってすっごい ダサい格好してBL画集 買ってたらしいよ』 なんてな。 私のイメージも何もかも ぶっ壊れること間違いない。 隠れキリシタンが見つかると 重罪に処せられたように、 隠れ腐女子も見つかれば 行き着く先は・・・・・・・ 「言わないでっていうのは、 みんなにってこと?」 武市君は私を見つめて、 ゆっくりと問うてきた。 私はおずおずと頷く。 やばい、 胃がキリキリする。 私がぐっと唇を 噛み締めてると、 武市君は、ふわりと 微笑んだ。   「顔あげて、日高さん。 大丈夫だから。」
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