窮地の生徒会長

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「はははっ、 今日からこの学園の 生徒会長だからね、 緊張してたんだ。」 いや、本当は腐のつく 女子とバレてるかも しれない恐怖で顔が 強張ってただけなんだが。 そんなことは口が 避けても言えないので、 私はにこやかに適当な ことを言っておく。 まさか私がこんなことを 考えてるとは思わない 皆々様は素直に私の 話を信じてくれた。 「そうだよね、 この学園の生徒会長って ほんと凄いもんね。 全てが優秀でないと なれないもん!」 「なりたくても なれないもんね、 私たちじゃ! というかむしろ重圧 凄すぎて、なっても 職務を全うできる 気がしない。」 「でも日高さんなら きっと大丈夫だよ!!」 みんなありがとう、 本当にありがとう、 私、頑張るよ。 私はいつもの調子を 取り戻して自分の席に 向かった。 武市君、いい人だ。 どうやら武市君は 本当に人に話して いないらしい。 彼は信頼できる。 この発見は喜ばしいことだ。 仕事は信頼できる人間と 一緒にやりたいからな。 彼が副会長でよかった。 私も他の四役のために 何か力になれることが あれば、全力でやろう。 私はうんうんと 一人で頷いて、これからの 華々しいであろう生徒会の 活躍に期待で胸を膨らませた。 さっ、 今日も1日、 真面目に実直に頑張ろう。 ―――――――――― ―――――――――――――― その日の昼休み。 私が和やかにみんなと カフェテリアでランチを とっていると、 近くのテーブルに 武市君とそのクラスの 男子が座ってきた。 おうっ、 武市君じゃないか。 武市君の口の固さを 知って、私の中で 武市君の好感度は 鰻登りの状態。 つい嬉しくて、 武市君ににっこりと 微笑みかける。 すると、私の存在に 気付いた武市君のクラスの 男子が目をぱちくりさせた。 「日高さんだ! わっ、生徒会長と 生徒会副会長が 揃ってる。」 「すげー、 並んで座ってよ、 写真とりたい。」 なんだそれ、芸能人か。 内心こんなことを 考えているわけだが、 そんなことは絶対 顔には出さない。 私がただ笑顔をキープ していると、 武市君は困ったように 小さく笑った。 「俺たち見世物じゃ ないんだから。 日高さんに迷惑 かかるよ。」 「あ、いやいや大丈夫。 ただ、そんな写真を 撮ってもらうような大した 人間じゃないよ?(笑)」 こう言って、 少し照れたような フリをする私。 別に写真ぐらい撮っても 構わんが、撮った後 「で、どうしよう、 この写真」 となるのがオチだろう。 だがしかし、 私の回りの女子の反応は 違った。 「あっ、 写真撮りたい! 武市君、副会長就任 おめでとう! あたし、もちろん 武市君に投票したよ!」 「武市君、頑張ってね! あたし、武市君のこと 応援してる!」 「武市君、 記念にツーショット 撮りたいです・・・!」
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