窮地の生徒会長

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ちょいちょいちょい。 君たち、落ち着きなさい。 今、完全に私の存在 忘れてるだろう。 まあ、無理もない。 武市君はハーフモデルの ようなイケメンだ。 写真の一枚や二枚、 ほしい気持ちは分かる。 だがこれ、あれだな、 私とのツーショットに かこつけて武市君の 写真撮って、 あとで私容赦なく 切り取られる感じだな。 ふははは。 しかし、そんな 女子たちの野望は 打ち砕かれる。 なんと武市君は眉尻を 下げて顔を傾けると、 「俺、写真苦手なんだ。」 と、女子からのせっかくの 申し出を断っていた。 あれか、 事務所通さないと ダメなのか。 いや、何だよ事務所って。 激しくくだらんことを 考えながら、 チューーッとストローで オレンジジュースを啜る。 すると、 男子たちが私に声を かけてきた。 「日高さんって、 武市とは今まで 接点あったの?? この生徒会で初めて 顔合わせた感じ?」 接点? 私は、ふむ、と 考えてみる。 うん、 考えてみるまでもなく 接点ないな。 「いや、 接点と言えるほどの 絡みは今まで無かったよ。」 「でも今から仲良く なるもんね?」 私の顔を覗き込んで、 すかさずこんなことを 言う武市君。 ツルツルのお肌に、 キラリと耀くグリーンの 瞳がまぶすぃ。 悪戯っぽい笑顔も かなりまぶすぃ。 私が遠慮がちに 「そうだね、」 と頷くと、武市君は 嬉しそうに目を細めた。 なんだこの美しい生物。 神様、よくこんなものを お作りになられたな。 あ、この人が神か。 他の女子もうっとりと 彼を眺めていらっしゃる。 武市君はそんな熱い視線を 気にすることなく、 楽しそうに口を開いた。 「やっぱり一緒に 生徒会運営するわけだし、 俺はもっと気さくに 話せるようになりたいよ。 昨日も本屋でたまたま あってお喋りしたよね。 日高さん。」 私の動きが、 ピタリと止まる。 本屋の話題を、 今、 わざわざ私にふるか?
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