窮地の生徒会長

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「・・・・そうだね、 本屋で会ったね。」 冷静に冷静に冷静に。 本屋で会った、 そして話した、 ただそれだけのことを 言われただけじゃないか。 何を焦る必要がある。 焦らなくていい。 頭の中でいくらこの言葉を 言い聞かせても、涌き出る 不安、そして冷や汗。 しかも、こう言うときに 限ってみんな話に 食い付くいてくるんだ。 「え、日高さんと本屋で 会ったの??」 興味津々で武市君に 声をかける女子。 武市君は「うん。」と 大きく頷いた。 「昨日、たまたま 会っちゃったんだよね? 本屋で。」 私の顔を覗き込む グリーンのような、 グレーのような瞳からは 何を考えているのか 全く読み取れない。 読み取れないが、 何となく、変なことに なってきているのは 分かるぞ。 「たま、たまね。」 言い返しながら、 頬の筋肉がピクピク してきた。 え、武市君、 君、なに考えてるの。 この話題別に出さなくても よくないかい?? 私が全身から、 「武市君、 君ちょっと黙ろうか」 オーラを出していると、 男子が私に声をかけた。 「へー、日高さん、 本屋で何か買ったの?? お勧めの本とかあるなら 教えてほしいな。」 お勧めは、 男と男が濃厚に ちちくりあうご本です。 って言えるかい!!! 男子からの質問を 聞いた瞬間、 手に力が入って、 握ってた紙コップが グジャッと潰れかけた。 まずいぞ、 まずいってば!!!! なんかどんどん 変な方向に向かってる 気がするんだって!! 私は動揺をなんとか 隠しながら口から 出任せを言う。 「お勧め? お勧めは、やっぱり 推理小説かな。 一緒に推理していく 感じが、「ふっ。」 ギギギギギ、 と、武市君の方を 振り返る私。 武市君は楽しそうに、 しっかりとこちらを 見ている。 お前今笑ったな? 今、鼻で「ふっ」と 笑ったな? 「推理小説(笑)」みたいな 感じで笑ったな!? 「・・・・・武市君?」 私が圧力をかけて その名前を呼ぶと、 武市君はけろりとした 表情で口を開いた。
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