窮地の生徒会長

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「そういえばさ、 昨日、日高さん本 買ってたよね。」 クスクスと笑いながら、 ゆったりと目を細める 武市君。 私はだんだん血の気が 引いてきて、 え、 なんで、 なんでそれ言うの? 武市君、 言わないっていったじゃん。 「あ、 うん・・・・・」 私が消えるような声で 返事をすると、 回りの人たちが身を 乗り出した。 「えっ、何買ったの?」 「知りたい知りたい! 生徒会長にまでなった人が どんな本読んでるのか 興味ある!」 「今日本屋で探してみよ!」 待ちなさい待ちなさい 待ちなさい待ちなさい。 私、脳内大パニック。 何買ったかなんて 言えるわけないでしょうが、 そもそも本っていうか 画集だし!! 活字なんて絵に時々 添えられてる 『双子の、カラダ。 相手のイイところは、 俺のイイところ。』 『嫌、なのに。 それでも抗えない、 一緒に堕ちていく 僕の体と心。』 『保健室での秘め事。 邪な治療を求めて、 俺は今日もその扉を叩く』 とかぐらいしかないわ!! 短文で的確にBL臭を 放出しとるわ!! というか、 武市・・・・・・・!!! 私が助けを求めるように 武市君の方を見ると、 武市君は頬杖をついて、 妖艶に、グレーの瞳を 揺らしていて。 あ、 助けを求める人、 間違った、 そう気付いたときには、 武市君が口を開いていた。 「昨日、日高さん 何買ってたっけ? 俺、見たよ。 たしか、禁断の ら「武市君!!!」 ガタッと立ち上がって、 武市君の口に手を当てた私。 武市君はアーモンド型の 大きな瞳を見開いて、 私をじっと見てる。 今こいつ、 言おうとしてた・・・!! 「日高さん?」 私のいきなりの行動に 回りの人たちがざわざわ し始めて、 すると、武市君は私の手を ゆっくりと取り払って、 ふわりと笑った。 「日高さん、ちょっと 俺と話そっか。 みんな、先に教室に 戻ってていいよ。」
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