完璧な生徒会長

3/11
258人が本棚に入れています
本棚に追加
/590ページ
「ごきげんよう、 日高さん。」 「こんにちは、 日高センパイ!」 「日高さんだわっ、 あっ、こっち見た!」 「いつ見ても素敵・・・」 ここは、 都内にある名門私立高校。 創立は明治で、 歴史と伝統を重んじる 由緒正しき学校だ。 生徒はしっかりした家の ご子息ご息女ばかり。 格式のある学校であるため、 金持ちの家の子もそれなりに いることにはいるが、 お金を積めば馬鹿でも 入れるような所ではなく、 実力・気品を兼ね備える ものだけがその門を くぐることが許される。 基本的には幼稚舎からの エスカレーター式の学園だが、 成績の奮わないものは 小学校卒業時、中学卒業時に 遠慮なく排斥されていく。 よって高校に進学できるのは 本当に優秀な子たちだけだ。 また、外部からの入学も 可能だが、その際は とてつもなく難しい試験を パスしなければならない。 さらに、成績が良いから、 何をしてもよい、 ということもなくて、 学校の名を汚すような 生徒はきっちり退学に されていく。 『現状に慢心するような ことがあってはならない。』 この学園長の信念のもと、 将来の日本を背負って たつような子達を 育てる学園、 それが私、 日高 凛(ひだか りん) の通う一条学園だ。 私はこの学園の 高等部2年である。 文武両道を謳い、 気品と気高さを育む 一条学園。 制服は着ているだけで 他者からの羨望の 眼差しを集め、 こちらとしても 気が引き締まる思いだ。 さて、突然ではあるが、 この度、 私はありがたいことに 生徒会長に選ばれた。 任期は高校2年の 2・3学期(後期)の間。 一条学園では前期の 生徒会長は3年生、 後期の生徒会長は 2年生が就任する 決まりになっている。 すでに文化祭体育祭共に 終わっており、 けして行事が多い期間 ではないが、 それでも重要な 役職であることに 変わりはない。 『生徒会役員になる』 それは、この学園において 教員生徒から頭脳、人柄、 気品、すべてにおいて 優秀であると認められた 存在であることの証であり、 生徒の見本となるべき 存在だ。 皆からの期待に 応えられるように、 気を引きしめて 望まなければ ならないだろう。 この物語は、 そんな私の生徒会長 としての奮闘記になる、 はずだったのだ。
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!