完璧な生徒会長

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************ 「日高さん! 生徒会長選挙の当選 おめでとうございます!」 「生徒会長就任、 おめでとうございます!」 「日高先輩の他に学校の 代表として相応しい人 なんていませんもの、 当然の結果ですわ。」 生徒会長選挙に見事 当選したその日の放課後、 私は皆からの称賛の声に 対し、にこやかに手を 振っていた。 わたくしこと、 日高 凛は、 本日の生徒会長選挙にて 見事、当選を果たした。 みんなの私に対する評価は 重々理解している。 勉学においては、 一度話を聞いただけで すんなりと内容を理解し、 それに慢心せず、 努力を怠らないため、 高い応用力を持っている、 更には分からないことを 訊きにいけば、 どんなに物分かりの悪い 人に対しても嫌な顔 ひとつせず、懇切丁寧に 教えてくれる、 それが日高 凛。 その上運動能力も 凄まじく、 少しかじれば大概の ことは人並み以上、 いや、他人を圧倒する ほどの結果を残すのに、 どの部活にも所属して いないため、顧問や キャプテンからの 部活勧誘が絶えない人物、 それが日高 凛。 “文武両道” まるでこの言葉を 実体化させたような、 生徒からも先生からも 人望の厚い生徒、 それが、私、 日高 凛だ。 これはけして 自惚れではない。 私は努力を積み重ね、 自分を日々叩き上げた。 これはその結果だ。 もちろん、 結果を鼻にかけて、 自慢するなどはしない。 だが、客観的に自分を 理解することも必要だろう。 今の私は、私が頑張った 結果の産物なのだから、 それを否定する必要はない。 「有り難う、みんな。」 私がフワリと笑って 声をかけると、 数名の女子生徒が 黄色い声を上げて、 ピョンピョン跳び跳ねた。 生徒会長には数多くの 推薦を受けて、立候補、 当選した。 明日には新生徒会発足の 全校集会がある。 皆の期待を背負っている 以上、私はこれまでより さらに厳しく己を律する 必要があるだろう。 綺麗に切り揃えた 前下がりのショートヘアを 揺らしながら、私は 颯爽と廊下を闊歩した。 みんなからの称賛の声、 期待の眼差しを感じる。 本当ならばもっと みんなにお礼や意気込みを 話すべきだろうが、 今日はこれからとても 『大切な用事』がある。 よって、早急に学校を 出なければならないのだ。
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