奪われる生徒会長

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「お姉さま、 お姉さまが可哀想っ、 お姉さま、 頑張ったのにっ、 お姉さまが会長だから、 昴は生徒会に入ったのにっ、 うう、」 肩を小さく揺らす昴。 稲葉君が、そっと昴の 頭に手を置いた。 昴はえぐえぐしながら 稲葉君の胸に顔を埋める。 稲葉君は昴の頭を 撫でながら、 荒々しく自分の ネクタイを外した。 そして、私を見る。 「僕も、いりません。 ネクタイも、バッチも。」 みんな・・・・・・ 私は、無理矢理笑った。 こんなに干渉されて、 もう、崩壊寸前だけど、 今まで頑張ってきた 生徒会。 簡単に放棄なんて、 したくはない。 こんな形で、 終わらせたくはない。 「・・・・ダメだよ、 生徒会メンバー いなくなるよ。 私は、大丈夫。」 ・・・・・チッ。 私の言葉に武市君が、 小さく舌打ちした。 今、武市君すごく 気に入らないんだろうな。 私がバッチもネクタイも 結局渡してしまったから。 眉間にシワを寄せて 何も言わない武市君。 昴はキッと武市君を見た。 「武市先輩だって お姉さまがこんな形で 辞めさせられるぐらいなら、 バッチもネクタイも いりませんわよね!? 生徒会なんて辞めます わよね・・・!?」 みんなが、武市君を見た。 武市君は、黙ったまま。 そして、フッと顔をあげた。 「俺は、辞めないけど。」 「は?」 昴が、目を丸くした。 そして、どんどん 顔が険しくなる。 「なぜですのよ!? だってお姉さまがっ、」 「俺は!!」 声をいきなり荒げた武市君。 みんなが驚いて黙ると、 武市君は、冷たい表情で、 淡々とした様子で、 続きの言葉を口にした。 「・・・・生徒会として、 やることがあるから。」 生徒会として、やること。 昴が武市君の胸ぐらに 掴みかかった。 「やること!? こんな先生たちに 好き放題される生徒会で やらなきゃいけないこと ってなんですのよ!? まさか、 生徒会長代理、なんて いいませんわよね!!」 武市君は、何も言わない。 そして、昴の手を無理矢理 引き離すと、 一人で休憩室を出ていった。 「内申点に目が 眩みましたの!? なんでっ!!」 憤慨する昴と稲葉君。 私は、何も言えない。
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