奪われる生徒会長

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――――――――― ――――――――――――― 次の日の朝休み。 私はまず始めにどの 先生に声をかけようか 迷っていた。 どうしよう、 やっぱり影響力強そうな 先生からがいいかな。 地理の男の先生とか。 でも怖いんだよなぁ、 いきなり注意喰らうと ヤだし・・・・・ その時、前方から 現代文の女の先生が 歩いてくるのが見えた。 まあまあ若くて、 少しだけぶりっ子って みんなが言ってるけど、 優しいことに変わりはない。 修学旅行にも来てたよね、 たしか。 あの先生なら話を 聞いてくれるかも!! 「先生っ!!」 私が駆け寄ると、 先生は目をパチクリ。 そして、ニコッと笑う。 「あら、日高さん。 おはよう。」 「おはようございます! ちょっとお話したい ことがあって来ました。」 私はじっと先生を見つめる。 先生はキョトンとして 腕を軽く組んだ。 むっちりと、 強調される胸が凄い。 ってそうじゃなくて!! 「あの、 磯部君のことなんです。」 いきなり切り出された 話題に先生は目を見開いて、 少し苦々しい顔をした。 「ああ、磯部君・・・ 彼、残念よね、 とっても良い子 だったのに。」 視線を落として、 ほぅ、と溜め息をつく先生。 この先生、 磯部君に対して良い印象 持ってる・・・? よし、いけるかも! 私はぐいっと先生の方に 身を乗り出した。 「そうなんです! 退学なんておかしいと 私、思うんです。 磯部君の家庭の事情を 先生は聞きましたか? 磯部君は、我が儘とかで 親戚の方の家を出たんじゃ ありません。 気を使ってくれる親戚に 申し訳なさを感じて、 お互いの精神的負担を 減らすために悩んだ末に 家を出たわけで、 一人で生きていくには バイトが必要だったんです! だから、けして磯部君も 遊ぶために、」 「日高さん。」 先生は私の話を止めた。 そして、肩をすくめて、 苦笑いをする。 「ごめんなさいね、 いくら言われても、 私が何かしてあげる気は ないわよ。」 ・・・・それはつまり、 なにもしない、 無駄だからもう話すのは 止めなさい、 そういうことか。 私は、さっきまでの 勢いはどこへやら、 スッと下を向く。 「そう、 ですか・・・・・」 だめ、なんだね。 先生は下を向く私を見て 苦笑いをした。 「先生達をこうやって 説き伏せる気だったの? また随分直接的というか、 捻りも何もないわね(笑) 真っ正面から説き伏せる なんて、多分無理よ。 それに、 日高さんはあんまり 今は目立つことしない 方が良いんじゃない?? 生徒会長、 止めさせられたんでしょ? 大人しくしといた方が 無難だと思うけど。」
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