奪われる生徒会長

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ああして優しいことを いってくれる子も いるんだなぁ・・・・ 自分の教室に戻りながら 私はクスッと小さく笑う。 みんなの、 力になりたいと思った。 最初は、ただ腐女子って バレるのが嫌で、 ひたすら腐女子らしさを 感じない、真っ当な 人間の振りをするために 頑張った。 その結果、生徒会長に 就任した。 もちろん、就任したときも 頑張らないとって思った。 だけど、 今は就任した時より、 みんなのために、 生徒会のために、 何かできることを したいって想いが強くて。 生徒会のメンバーが 大好きで。 奪われたく、なかった。 「・・・傍にいて、 守ってあげるって いったくせに。」 傍にいてほしいよ、 武市君。 ――――――――― ――――――――――――― 次の日。 今日の放課後、 職員会議が開かれる。 これで仮処分が本当の 処分になるんだ。 結局、私は昨日今日と 自分の学年の先生は諦めて、 他学年の先生に磯部君の ことを言ってみたけど、 反応はイマイチだった。 迂闊なことを言って、 それをもとにこっちが 大騒ぎすると困るから 警戒しているのだろうか。 私は、何も成果がでなくて ただ時間だけが過ぎていく。 なんと頼りない生徒会長か。 まわりの子たちは 私を見て何か言ってる ように聞こえるし、 でもなんか 被害妄想な気もするし、 こんなこと考えること 自体が憂鬱だし、 武市君にやっぱり 会えてないし、 ・・・・・・どうしよう。 放課後、最後の足掻きで 保健室の先生にまで 声をかけようとしたけど、 「外出中、 17以降戻ります」 って札がドアにかかってて、 なんだかもう。 「ごめん、 磯部君・・・・・・・」 思わず、そこに しゃがみこんだ。 腕時計を見ると、 職員会議が始まるまで あと少し。 自分の力のなさが、 嫌になる。 職員会議の結果を 聞く明日が、怖い。
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