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悠の手に触れる。
脈はあるが頭から血が流れている。脳に損傷があるかもしれない。
無理に動かさないほうがいいか。擦り傷と多分右足は骨折している。
あとは全身打撲ってところか。
「お前…なんでそんな冷静に…」
「これが冷静に見えるか?馬鹿野郎。」
俺の手はひどく震え、心臓がばくばくとうるさい。顔がこわばっていることが自分でもわかった。
「っ!・・・・・ごめん」
そこに救急車が到着した。
悠が救急車に乗せられたとき警察も駆けつけ
女性(子供の母親)に話を聞いていた。
「綾斗、奏人、悠に付き添ってあげて。俺たちが警察に説明するから。」
「ありがとう。佳純。」
俺らも救急車に乗り、病院へと向かった。
救急隊員の人は点滴を用意したり体の状態を確認したりで大変そうだった。
「彼に持病やアレルギーはあるかどうかわかりますか?それによって処置が変わるのでできるだけ詳しく。」
「持病はありません。アレルギーはキウイフルーツとかブドウです。」
「ありがとうございます。」
悠の意識がもし戻らなかったら…
悠がもし…
奏人が俺の肩にポンッと手を置いた。
「大丈夫。暗いこと考えるな。」
そうだ。大丈夫。悠はまだ息しているし、生きているんだ。
暗いことは考えてはいけない。
俺は小さくつぶやいた。
お願いします。
神様が存在するなら悠を助けてください。
エゴだけど…
もうあんな思いはしたくないんです。
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