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 2時限、3時限、4時限。そして昼休み。  どうせ放課後には色々話すことになるんだから、わざわざ昼休みまで八ヶ代と一緒に居ることはないだろう。そう思って、オレは昼休みになるなり弁当を持ってさっさと教室を出た。  ……1人残された八ヶ代がかわいそうじゃないかと一瞬思ったが、おそらくアイツはそういうことで傷つくタマじゃないと思う。というか多分、朝の騒ぎでもうアイツには誰も近寄らないだろうから、何かが起きる心配もないだろう。  そういうことだ。絶対大丈夫。オレは自分にそう言い聞かせて、適当な空き教室で昼飯を食うことにしよう、と思った。 「翔太?」  教室に向かう途中、馴染みのある声に呼ばれてふと立ち止まる。  オレを呼んだ女子生徒の名前は瀬戸 遼子(せと りょうこ)。家が近かったりなんだりで昔から付き合いのある、言うならば幼馴染だ。 「リョウじゃん。どうした? こんな場所で」  自分の名前があまり好きではないらしく、彼女は自分のことを「遼子」と呼ぶより「リョウ」と略して呼ばれる方がいいのだとか。だからオレは遠慮なく彼女のことをリョウと呼ばせてもらっている。 「翔太こそどうしたの、こんな場所で。空き教室で昼休み過ごすつもり?」 「まあ、そういう感じ。ちょっと面倒ごとがあってさ」 「何、また突っかかられたの?」 「違う違う。変な転校生が来てさ。ソイツが隣の席になったんだよ。んでちょっと色々あって……一緒に飯食うのはなーって思ったから、久々に空き教室で食おうかなってなってさ」 「変な転校生……? あ、」  朝見た奴かも、とリョウが声をあげる。 「髪が白黒でまだらになってた子?」 「そうソイツ。なんか訳ありぽくて関わるの面倒でさ」 「それでわざわざ翔太が教室を出たわけ?」 「そうなるな」  元々クラスにそう馴染めているわけでもないから、教室を出て1人で昼飯を食うことだって月に何回かはあることだ。オレもオレで、1人の時間が欲しいと思ったときには迷わずそうする癖があることを自覚している。  多分リョウもそれを知っている。だからなのか、彼女はため息を吐いた。ため息をつくと幸せが逃げるぞ、と茶化すと「翔太に言われたくないよ」と返された。どういうことだ。 「……誰も傷つかないように我慢するのはいいけど、翔太自身がキツかったら意味ないんだからね?」 「おいおい、オレのこと過大評価しすぎだし善人だと思いすぎ。オレはただ、面倒事の側から離れたいといつも思ってるだけ」 「またそうやって自分を下げる言い方する……」
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