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「虹の願い事、教えてよ」
朱色の鳥居をくぐった後で、空がそんな冗談を言い出すから。
「願い事だよ? 人に言っちゃったら叶うわけないよ」
知らないの? と笑った私をみて、空は大きな口を広げてニッと笑った。
「二人で願ったら叶う確率高くなると思うんだけどなあ」
てん、てん、てん。
お互い目を合わせたまま、流れた微妙な空気。
そんなわけないよ。 いや、アリかも? いやいや、ないよね!
二転三転して、てん、てん、てん。
「じゃあ、耳貸して? 空」
神様に聞こえなきゃ願い事を口にしたことにはならないんじゃないかな、なんて。
浅はかな小学生だった私は思ったの。
少しかがんでくれた空の耳に背伸びして口を近づけた。
「あのね、」
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