プロローグ 〜私が目覚めたのは〜

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プロローグ 〜私が目覚めたのは〜

『 あれ....此処は… 』 ふと、ピンク色の陽の光を遮っているカーテンの隙間から朝を知らせる眩しくも何処か心地良い日差しが差し込むと私は少し “ うぅ…… ” と呻き声の様な声を上げながら朝特有の布団の魔の手と睡魔に襲われながら重たい瞼を開き目を覚ます。 『 何処だろう…… 。何故だか思い出せない…… 』 見慣れた様で見慣れていないシンプルなベッドから起き上がり少し周りを探る様に見回す。 特に目立って怪しい所は一つもなく一安心するも机の棚にある三色のカバーをしてある日記帳らしき物を見つける。 その3冊の日記帳を少し怪しむも何か手掛かりがあると思い取り出してみる。 3冊を机の上に並べて見比べると1番手前にあった水色のカバーがしてある日記帳以外にはロックが掛かっており記憶が無い今では当然開く事も出来ず残り2冊は見る事が不可能だと思い水色のカバーがしてある日記帳をそっと手に取る。 「 自分が誰だか分かるかもしれない 」と思い恐る恐る近寄り日記帳を手に取り読み進める。 読み進めて分かったことは自分の名前は神崎唯花(かんざきいちか)である事、一人称は私で姉と両親がいるという事 恐らくであろう「彼女」と言う存在との再会の約束の事だけだった。 『 幼馴染の名前、文字が消えかかってて読めないや…… 』 肝心の再会の約束をしたであろう幼馴染の名前が分からず、不意に呟くと自分の中でとても大きな疑問が現れる。 《 何故自分は此処まで残念そうなのか。 》 《 その幼馴染は1人なのか。 》 《 自分は何者なのか。 》 そんな事を考え始めるとキリがなく更なる疑問に襲われる。 それが怖くなり一先ず考える事を辞めることにし日記帳をそっと閉じて机の上に戻した。 『 えっと、他は…… 』 少し息を整えてまた周りを見渡すと恐らく、この部屋の下から誰かが登って来る足音が聞こえる。 上がってくるスピードは下がる事を知らず寧ろ「 少し早くなっているのでは? 」と錯覚してしまう。 暫くして警戒をしてそっと息を呑むと“ コンコン ”と自分がいる部屋の扉をノックする音が静かな部屋に響き渡る。その後聞き慣れた様な女性の声がして 『 もう朝の7時だけど時間大丈夫なの? 』 と心配される様な口調で語り掛けられると思わず警戒していたのが声を聞いた事で一気に解けてはどう答えようか考え再度周りを全体的に見渡して 『 だ、大丈夫じゃないかな? 』 少し焦って言葉に詰まりながらも母親らしき人物を安心させる為にそう答える。 するとその人物は安堵したのか立ち去ると扉の前から人の気配が消え少し安心すると学校と聞いて制服を探し見つけその制服に着替えると身体が覚えていたのか難無く学校の用意を済ませると鞄を持ち緊張しながらも扉をあけて目覚めた部屋から初めて外に出る。 『 い、いってきまーす。 』 と学校に着けるかどうか不安に思いながらも記憶ではなく身体を頼りに少し早歩きで遅刻しないように学校に向かうのであった。
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