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「大丈夫なの?だってこの前は風船みたいに破裂したじゃない」
「この恋心は軽薄だからそんなことにはならないわ。つまり…」
またしても魔法ステッキが鼻先に突きつけられた。今日の魔法熟女は攻撃的だ。
「あんたの恋は、それだけいい加減だってことよ!」
「なっ…」
「あんた一番目に告白した人のこと諦められたの?いや、答えなくて良い。間違いなく諦められてない!だってそうよね、5年も想い続けてたんだもん、振られたってすぐに諦められないよねー」
そうよ、すぐに諦められるもんですか。5年の想いが一瞬で消えるわけが無いでしょ。でも他に好きな人が居るって言われたらどうしようも無いじゃない。
「ツラいよねー、悲しいよねー、切ないよねー、忘れるために他の恋を探すって惨めよねー」
魔法熟女はあたしを泣かしにかかってきた。
「そんな気持ちを残したままで、新しい恋が育つわけないよねー」
プシュー
机の上の恋心に小さな穴が開き萎んでしまった。薄くて軽くてペラペラの皮だけ残して。
あたしの恋心はペラペラだ。
涙がポロリと落ちた。
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