月は昇っていませんが、

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やって来た城下町。前回とは違って燦々と降り注ぐ陽光が俺のHPを減らし続けていった。 アー、アぢぃなぁ。さっさと目的のォとこォに行くかぁア? ホンッとにィ、曇ってレバァよかったのにナァ 真っ黒な姿でいるのを不審に見られながら逃げるように大通りから路地裏に入る。建物が密集しているため、影が多く、涼しかった。 俺はこれ以上の熱に晒されたくないので足早に今回の目的地に向かった。 ンー、マだ外にいる馬鹿ハァ、イネェンダナぁ?ここでェ暴れるのモ暑くナルから嫌ダケドナぁー 「ンで、ココだなァ?」 目の前には小洒落た外装の店があった。店名は【鴉の止まり木】 カランコロンという音と共に中に入る。 「いらっしゃい、クロ君か、好きなところに座っていいよ。」 「ウェイ、久しぶりだなァ店長ヨウ」 俺を迎えたのはここのマスター。俺のことはクロと呼んでいる。なにせ全身真っ黒だからな。聞いたところによると【crow】の初代族長だったらしい。王道だな。店名からも分かる通り、この店は【crow】のたまり場だ。昼はカフェをやっていて、夜はバーを経営している。俺も偶に夜に行って酒飲んだりしている。法は犯してはいないぞ? それにシテェも、涼シーナァ。丁度いいくらいにィ冷房が効いてるぜェ。 俺は手ごろな席に座ってコーヒーを頼んだ。 すると、横のテーブルに突っ伏していた男が顔を上げ、俺を見た。 「血狂いの兄貴じゃないっすかー、お久しぶりっす」 「アーヒャヒャヒャ、久しぶりだなァ。相変わらずのイタイ色の頭でェ、目がチカチカすんぜェ?」 「はははっ、兄貴には負けるっすねぇ」 「ア゛ア゛ッ?」 「ヒッ、何でもないっす!」 この頭が目立つ馬鹿は田代 万久里(たしろ まくり) 頭は足りないが、顔面はパーフェクトな男だ。 「それで兄貴、今日どうっすか?」 ちなみにゲイである。 シャツの前を開けてぱたぱたとさせる。 「シネ☆」 「ううーっ、いいじゃないっすかぁ。気持ちよくさせますよ?」 「ウルセーヨ、テメェの舎弟と好きなだけヤってろこの晩年発情期ガ」 思えばこんなにマジかに発情犬がいるのになんで副会長は俺を下の緩い男と判断したのだろうか。 発情犬は俺の横に座って耳に口を寄せる 「いつでも待ってるからな」 「!?――ッ」 艶のある低音ボイスで言ってきた。 キメェ~~!チカヨンナ!この駄犬がァ! 俺はすぐさま駄犬の体を押して離す。それでも足りずに立ち上がって離れようとしたが、 「―――」 足に力が入らずソファーから落ちてしまった。 「だ、大丈夫っすかぁ!今起き上がらせますから!」 焦った駄犬が俺を抱き起してソファーに降ろした。 ッッッ!!!なんでコンナァ! 俺は熱の上がった顔を隠すために下を向いたままだった。こんなことで腰が抜けたことが恥ずかしかった。そして駄犬はそのまま焦っていろ。どうせなら俺じゃなくて(ry この混乱はマスターがコーヒーを持ってくるまで続いた。 ========================================== 後書き 萌えって難しい。 こんなつたない萌えですが、どうぞ存分にご堪能ください。
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