月は昇っていませんが、

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そうやって話していると 「Bloodsady」 「なンだ?紅鴉クンよウ」 紅鴉を見ると真剣な表情で俺を見ていた。どうやら何かあるらしい 「しつこいかもしれないが、【crow】に入らないか?」 勧誘だったらしい。しつこいと言っていたのは邂逅した去年から何度も誘われているからだ。だが、そこからわかるように 「ヒハは、断らせてもらぁウよォ、テメぇモ分かってェンだろぉう?」 「えー入りましょうよう、楽しいっすよ?ここ」 「「そうだそうだー!」」 俺が【crow】に入ることはない。既に、神崎 椿として誘われたりもしていたが、断っていたし。それに、今はフードと口調、髪色髪型、気配、仕草等でバレないではいるが接点が増えるとバレる可能性が急増する。今でもこんな目の前に座られて近くで見つめられているんだ、ひやひやしてしょうがない。 俺がこうやって城下町に繰り出しているのも暇つぶしとちょっとした小遣い稼ぎだ。まあ、入ってみるのも面白そうだとは思ってはいるが、だからといってリスクを置いてそれをとることは出来ない。族の抗争があったら所属しているということで従わなくてはいけなくなるしな。…絶対に従わないが、うっとおしいものはうっとおしい。 「そうか…確かにわかっていたことだがな。それじゃあ、代わりに、Bloodsadyに依頼をしたい。」 依頼ネェ…? それは情報屋としてだろう。【crow】には専属情報屋はいない。それはすべてBloodsadyに頼むためであり、それと一緒に勧誘するためである。 前に聞いたところによると勧誘しているのに他の情報屋を雇っても意味はないとのこと。なぜそこまで誘ってくるのかと思うが、どうやら仕事の正確さ、それに人格が良いとのこと。 Bloodsadyとして行動するときはこんな人格であるが、感性は大丈夫なのだろうか。そう思うが【crow】だけでなく【cat】の方からも同じような理由で勧誘が来ていた。 一回病院行った方が良いんじゃあねェの?と頭によぎったのは余談だ。 「ナァニを調べレばイいぃんだぁイ?」 「…【ヴァンパイア】の動きとこの街に入り込んでいる羽虫が何をやっているかだな。時間は早めに、金にいとまはつけない」 「フムぅ、こイツ等は早く駆逐して欲しぃいカラぁネェ~割引してェやんヨ」 「助かる」 俺は学園で使っているPCではなく仕事用のPCを持ってきている。 まあ、なんとなく依頼されるかなと思っていたから丁度良かった。
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