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それでもどこかに落としてしまうのは申し訳ないので荷物の中に仕舞うことにした。それを見た宝石狂はそれでいいと頷いた。
このままこの人と一緒にいると気が狂いそうなので俺も海に出るとする。二人に断ってパラソルを出た。
「さてさて何をやってるのかなぁっと」
砂浜では双子とワンコと無口が砂遊びしていた。…城か。モデルは俺らの学園の校舎かな?まだ形はそこまでじゃないがあれに通ずるものがある。
「ほらそこ!そこはもっと傾斜を高くして!」
「ん!」
「うーん、質感がー」
「……!!」
よくここまで細かくできるな…双子弟と無口なんて鬼気迫る形相でやってるし、これってただの遊びだよな?
「ふぅ!ちょっと一休みしようか」
「しゅーちゅー力が切れたらたいへんだもんねー」
「やってるねぇ~これは校舎かなぁ?」
「あーっ!つばつば!そうだよーよくわかったねー!」
「そりゃあ毎日見てるからねぇ~」
きゃっきゃっと双子が笑っている間もワンコと無口は進めていく。お前らは休憩しないのかというか、掘るの好きだなぁ…パラソルの時も掘ってたし、それともなんだ砂をいじるのが好きなのか?どうなんだろう、どっちもな気がする。
「…椿もやる?」
じっと見つめていたら混ざりたいと勘違いしたのか顔を上げて聞いてきた。心なしか奥の方をやっている無口もキラキラとした目で見つめてくる。
「ん~いや、やめとくぅ~やって崩しちゃったら勿体ないからねぇ~」
「そっか…」
断られてしゅんとするワンコと無口。二人とも耳と尻尾が垂れ下がってるのが見える。いや幻覚だけど
「んふふ、でも代わりに完成したら呼んでぇ~?写メ撮るからぁ」
「……!」
「…ん!!」
やべぇ、言ったらぱああっって花が咲くように明るくなったこのギャップ差に目が焼ける。二人とも、すっげぇ眩しい。
今気づいたが、無口がしゃべってるところ見たことないわ…まあだから無口って心の中で呼んでいるけど。ちょっと声を聴いてみたい気持ちもある。ワンコ属性を持つと口下手になるのだろうか……
「それじゃあ、僕はもう行くねぇ~?」
「あーい!」
「いつでもきてね!」
「ん!」
「…おう」
さーて行くぞ……
ん?
最後の低音イケボは、無口ですかっ!?ここで声がでたか!思わず振り返って見てみると他の三人もびっくりした顔で無口を見ていた。おい双子兄、口開いてるから閉じろよだれ垂れんぞ。
無口は急に静まったので周りを見て自分を凝視していたから驚いていた。いやまぁ、頑張れ。心の中で激励を送り、俺は海へと歩いていった。後ろの喧騒は聞かなかったことにして。
「あーっ!!!崩れちゃったぁー!」
ちょっと難しいかも……
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