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「そっかぁ~そーいえばさぁ他の子たちは何をしてるのかなぁ」
「ん?あいつら?」
「そーそー」
辺りを見回しても人影がない。あ、ここら付近なんだが神宮寺家の私有地に含まれているので人は俺ら以外いない。いたら不法侵入者だな。まあ、この外だったら市の海になるので今日もたくさんの人が遊んでたりするが。遠目に見ても、うん、混雑してるな。絶対に行きたくないあの中には。
咲蔵を見てみると首を傾げていた。
「うーん、確か…委員長とバ会長とうちの子数人はなんか泳ぐ速さを張り合ってあそこの孤島のところまで競争で泳いでいったよ?」
…あー、あの人たち何でもかんでもできるけど似たようなできだからよく張り合うんだよな。後どっちも負けず嫌いだから優劣つけたがるし差が出ても勝とうとするからな。
うん、ほっとくのが一番だな。というか俺海に入れないし。
「で、似非笑顔副会長が向こうに食べ物買いに行ったよ?」
「そっかぁ~ありがとねぇ~」
「別に!これぐらい、何とでもないし!」
「優は可愛いねぇ~」
「ふゃっ!?か、かか……」
顔を真っ赤にして壊れたように声を漏らす様はとても可愛らしい。できれば委員長とか無口とかくっつかないかなー
「ふ、ふんっ!か、かかかかか可愛くなんてないしっ!」
「そんなことないよぉ~」
「う、ううう~~~っ!!!ふ、副会長が買い出しに行ってから随分と時間がたってるけどまだ帰って来てないから何かあったかもっ!だからっ!僕なんかを相手してないで見に行ってみたらどーだよっ!!」
ふんっ!と言って顔を横に向けた。わあ、首まで真っ赤っか。褒められるのは慣れてない感じか。
でも…ふむ、買いに行ってまだ帰ってない、か……
一応見に行ってみるか。族に所属しているが、喧嘩慣れしているとはいえ喧嘩に至ることはほぼないだろうし、結構あの人一般人に慣れていないところがあるものな。学園のみんなによくあるものだが
ほら…
「カッコイイ―!おに―さんうちらと一緒に遊ばない?ね?ね?」
「い、いえ、連れがいますので」
「そーなん!?じゃあさーその人とも一緒に遊ぼ―よ!」
「あ、わ」
早速向かってみると肉食系女子に逆ナンされていた。学園にいると麻痺しがちだが副会長は顔がすっげぇ良い。イケメン、可愛い子がぞろぞろといる中でも一際目立つ顔だ。まあ、だから生徒会に選ばれたのだが。なので、肉食獣にとってはもの凄い肥えている肉にしか見えないってものだ。しかも世慣れしていないし、押され気味だ。良い肉が寝っ転がってぐーすか寝ていたもんだろ。鴨が葱背負ってきたとも言う。
駄目だ、このままだと連れ去られてしまう。
「ちょっとおね~サン達~」
「ん…!?」
「何って…わぁ」
「椿!?」
「もしかしてこのお兄さんのツレですか?」
「うんそうなんだ~」
頷くとキャーって叫ぶ肉食女子。喜んでいるところ悪いが
「このおニーさん誘っているところ悪いんだけどさ、僕たちこれからたーいせつな用事があるんだよねぇ~結構時間も迫っちゃって来てるの。」
「そんなぁ~」
「え~」
「ごめんねぇ~?こーんな可愛い子ちゃん達に誘われてすっごーく嬉しいんだけどぉ~」
「か、可愛いってそんなぁ」
「そんなことないですよぅ…」
ニッコリと笑うともじもじしだす肉食女子たち。ん、この顔面は有効活用しないとな。
「残念だけど、ね?今度会ったらさぁ一緒に遊ぼ~?それで許して?」
「そうね!」
「ごめんね?引き止めちゃって」
「イケメンと遊べる…フフフ」
会えたらな。
一人妄想を吐き散らしてるが、本当に会えるかわかんねえぞ?いや、会わないけど。
肉食女子たちに別れを言って副会長と一緒に歩いた。
「ありがとうございます。どうしても、引き止められてしまって…」
「良いってことよ。場慣れしてなさそうだったしな、副会長じゃやっぱり難しかっただろ。」
「そんな椿は慣れているのですね」
「んー、まあな。よく街中歩いていたりするし逆ナンされるんだよ。」
「そうなんですか」
「そーそー、あーゆーやつらはな、褒めちぎって満足させればいいの。で、俺らにとって一緒にいたいんだけど、どーしても出来ないっていう体を取れば大体行ける。それでも食い下がってくるやつもいるが、それだったら諦めて全力で逃げろ。」
「頼もしいですね」
「伊達にこの顔で生きてないさ」
感心したような目で見てくるが、別に褒められたものではないからな?
まあ、満足させて、引き際を作って、納得させればいいんだよ。人間って結構単純だし。
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