どうやら合宿があるそうですよ

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道を戻ること数分、光が見えてきた。 瞬間 「あ、アア――――――っ!!もう怖いのは嫌だぁ―――――ッ」 と、言って先に走っていった。まあ、これくらいはいいか。人ならざる者に邂逅してしまったのもあるしな。 森を出るとみんなが待っていた。 「おっかえりー!」 「でも遅かったね」 「「やっぱ怖かったのー?」」 双子が覗きこんでくる。あんなのどう説明したものか、それ以前に言うかどうか迷っていると 「怖いってものじゃないよぉ~!!!神社でさ、変な人が急に現れたんだよ~!!?何あれー!!!?」 思わず頭を抱えてしまう。本当にこいつは… 「頭ダイジョウブ?」 「ねぇー椿ぃ、それほんとー?」 「っ…あー」 どう答えようかなーすっげぇキラキラした目で見てくるけど、なぁ…… 「椿、そうならその人の見た目は何だった?」 「角と鱗と尾が生えていた。長身男性」 「ふむ、そうか…」 それを言ったきり顎に手を当てて考え込む会長。おおかた、起源となった神霊のことを考えているのだろう。質問の意味にわかりかねた双子が会長に詰め寄るが、会長は適当にあしらって全く答えなかった。 「まあいい、帰るぞ」 「ええーちょっと待ってよー」 「僕たちの質問に答えてよ」 双子はブーブーと文句を言うが問答無用で家に戻った。 夜、珍しく起きてしまった。そのままもう一度眠ろうにも目が冴えてしまって眠れないので外を歩いてみるかと考えた。隣のベッドで眠るチャラ男を起こさないように音を立てずに部屋を出た。 庭にも出てみるか、今宵も空が晴れているし、月もきれいに出ているから昼に見た植物もさらに美しく見えるだろう。 「……ぁ」 庭に出て気ままに歩いていると、木に身を預けて月を見上げる会長がいた。 漏れた声は決して大きくなかったがこの静寂の中では意味をなさなかったのかそれに反応してこちらを向いた。 「椿か……眠れなかったのか?」 「まあな」 「ふっ…俺もだ。俺が、いや神宮寺家の存在意義をな考えてしまってな」 「さっきの…神社に現れた彼の事か?」 「……ああ、俺の名前が龍なのは知っているな?」 知ってなきゃやべーだろ また上を向いてしまったから会長がどんな表情をしているかはわからない。 「おかしな話だがな、俺が生まれる前、母が俺を身ごもっていた時にお告げがあったらしいんだ。神龍からな」 今、彼はどんな顔をしているのだろう、どんな、気になって一歩踏み出して…止めた。 「父の夢に出たそうだ。だから俺はそう名付けられた。」 ふと俺を見て笑った 「なんて顔をしてるんだよ、どうってことはない。ただそれだけだ、何故か話したくなっただけだ。」 「……ならいいんじゃないか?それで、気持ちが楽になるのなら」 「…さぁ、戻るか。早く寝ないと明日に響く。お前も戻れ」 会長は地に手を付けて立ち上がり、土を払った。 通り過ぎる時に気づく。珍しくカラーコンタクトを着けていない。その彼の黒い眼の色が一瞬…… いや、なんでもない。ただ、それだけなんだ、きっと。 俺は月をもう一度見上げて、彼に倣い戻ってすぐさまベッドに横になった。 何故かわからないけれどもすぐに睡魔にやさしく包み込まれ、意識が落ちていった。 === 後日談 再び、生徒会と風紀が集まった場で… 「そういえば、合宿での肝試しでさ聞きたいことがあったんだが」 「なんだ?」 「俺のペアが神社に行った時札が一枚足りなかったんだよな。双子、わざと張らなかったりしたか?」 「えーちゃんと張ったよー?」 「うん、張ったよ?」 「んーなんでだ?」 「俺は椿の前だったが、ちゃんと数は合ってたぞ?剥がれかけているやつもなかったが……」 「「「「…………」」」」 「「「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!????」」」 とかあったとかなかったとか。
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