のぞく、のぞく。

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のぞく、のぞく。

 画面の中で、その女はそっと黄色のティーシャツを脱ぎ捨てた。誰も見ていない、自分しかいない部屋だと思っているからこそラフな格好であったのだろう。ティーシャツにジャージ。会社や友達と会う時の澄ました姿からは想像もつかない。人間誰しも隠している本性やだらしない一面はあるものだ――俺は一人ぶつぶつと呟きながら頷いた。  俺に見られていることなど全く気づいていない女は、洗面所で一枚、また一枚と服を脱ぎ捨てていく。クールでストイック、仕事が出来る女という顔をしておいて部屋ではだらしないジャージ姿。しかもシャツとズボンを脱ぎ捨てたその下には、布地の面積が随分少なく、薄っぺらい紐パンを身に付けている。しかも色が黒。白い肌に映えてますます興奮してしまう。よく見ると下の毛が僅かにハミ出している事実に、果たして女は気づいているのかいないのか。 「淫乱め」  俺はにやにやと笑いながら、画面の向こうの女に告げた。 「そんな下着を着て、そういうことに興味がないとか言わせねぇぞ。本当は男を誘ってるんだろ、え?窓をブチ破って、無理矢理押し入ってきた男に襲われたいとか思ってるんだろ?普段性欲なんかゼロですって顔してても、俺の目は誤魔化せないぜ。お前がそう言う趣味な淫乱女だってこと、俺はよーくわかってんだからよぉ……」  勿論、こちらの声など聞こえない。女は盗撮されていることになど全く気づかない。ゆえに、風呂に入るために生まれたままの姿を晒すのである。  滑るような白い肌を、黒髪がさらさらと流れる。女が少し身動きするたび、下着が外された豊満な胸が揺れた。Eカップはあるな、と吟味する。その先にちょこんと鎮座している乳首は胸の大きさに比べて控えめだ。なんとなく、イチゴのショートケーキを思い出していた。真っ白なクリームの上でこそ、鮮やかな赤い果実が映えるというものだ。  AVなどでよくあるシチュエーション。女の胸は、男が揉んでやると大きく育つし、感度も良くなるのだとかなんとか。是非とも試してみたいものである。まるでマシュマロのような触り心地だろう。想像するだけで口の中に唾が湧いてくるというものだ。 「本当は気づいてんじゃねぇのか?え?」  暗い部屋に煌々と灯るモニターの灯り。  俺は舌なめずりをしながら、誰も聞いていないことを承知でわざと声に出すのである。その方が言葉攻めをしている気分になって興奮するからだ。 「俺が見てるって、知ってんだろ。知ってんのに気付いてないフリしてんだろ。そんなエロい胸ユサユサゆらしてカメラに見せつけやがって。誘ってねぇとは言わせねぇぞ、なぁ?」  しかも全身の毛を毎日風呂で丁寧にケアするくせに、股間だけはボーボーにしたままと来ている。どうせ見えないから手入れを怠っているのか?否、自分を襲ってきた男に酷く詰られたくてそのままにしているに決まっているのだ。プレイの中にはそういうものもある。きっと男の手で厭らしく処理をされたいのだ。だからわざとそのままにしているに違いない。 「俺が、望み通りにしてやろうかあ?これでも下半身に自信はあるからよ。満足させてやれるぜ、何時間でもなぁ?」  ああ、いい加減辛い。全裸になった女が風呂場に入ったところで、俺はティッシュを片手に下半身へと手を伸ばしていた。
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