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「何を不思議そうな顔をしている?昨日はOKしただろう?口約束だって立派に契約と見なされる。反古にすることは許さない。」
「昨日は単にからかっているのかと思ったけど・・・馬鹿にしているんですか?」
「どうして?」
「如月専務なら、それこそ選び放題じゃないですか、なにも部長にいいように遊ばれていた馬鹿な男を自分の愛人にするとか、そりゃ、あなたからすれば僕は虫けらのようでしょう」
昨日は部長の奥さんの姿をみて心が弱っていた、そこを付け込まれた。
結局、部長とのことだって家のことで弱っていた、また同じ失敗をした。
借金はまだまだたくさんある、普通の恋愛なんてできないと思っても愛人なんて、その人にとって一番になることがない都合のいい人間にしかなれない。
みじめだ。こんな思いに苛まれている俺の前では専務が表情を崩すことなくまっすぐにこちらを見つめている
「わたしは哲を虫けらとも思っていないし、馬鹿にもしていない」
「理由も昨日伝えたとおりだ、改めて条件を伝える」
「条件?」
「契約だから条件は必要でしょう?」
たしかに、契約のほうが気が楽だ。というか、さらっと下の名前で呼ばれた。 だとしても、この人にも奥さんとかいるんだろうか? それとも、何人も愛人とかいるんだろうか?
「わたしからの条件は、私以外の性的な付き合いは禁止です。ですから、田中営業部長とは別れていただきます。」
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