1203人が本棚に入れています
本棚に追加
「愛してるよ」 軽く唇にキスをすると、勝手知ったる哲の部屋のシャワールームへ向かって行った。
男は、哲が勤めているKISARAGIコーポレーションの営業部長で、田中直也38歳、営業部長としては若くやり手であるともいえる。
哲は23歳で田中が初めての男だ。 田中は烏の行水よろしく、あっという間にシャワールームからでてくる。
それはただ、行為のあとだけを軽く流すだけで手早く着衣をつけていく。
「いつも慌ただしくて悪いね」
「いいえ、こうやって時間を作って会ってくれるだけでもうれしいです。」
「もう少ししたら、離婚が成立すると思うんだ。そうしたら、一緒に出掛けたり、朝まで一緒に居られる」
田中は既婚者だ。 だから、セックスした後に下手に石鹸などを使わず、付いた体液だけを洗い流して帰っていくのが恒例となっている。
「本当に僕はこうやって会ってくれているだけで充分なんです。」
「私達夫婦は仮面夫婦で、もう何年も口もきいていないんだ。だから、哲がだけが、私の癒しだ」
「じゃあ、今日はこれで帰るから。また、明日」
玄関がしまる音を聞いてからゆっくりと立ち上がり、シャワールームへ向かう。
まだ残っている田中の残滓を掻き出しながら田中のモノを思い浮かべて指を挿出させ、片手で自らのモノを扱く。
本当は、まだ足りない、もっと欲しい。
でも、それは口に出せず足りない分はこうやって一人で欲望をみたしていた。 別に離婚をしてほしいとか思わないが愛する人の癒しでいたい。
いつか、一度でいいから朝まで一緒に居られたいいと漠然に思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!