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「あの・・・・寝坊してしまって・・・」
申し訳なくて、おずおずとリビングへ行くとテーブルにはスクランブルエッグにベーコン、サラダが置かれていた。
「俺は、朝食を食べないと頭が働かない人間なので朝は必ず食べますが、哲は?」
そう言いながら、焼きたてのトーストとコーヒーの入ったポットを持って来たその姿が、様になっていてかっこいいとか思ってしまう。
こんな姿をみたら、落ちないヤツなんていないと思う。
「僕も、朝は必ず食べますが、こんなしゃれた感じじゃ無くて、ごはんと納豆くらいです」
「そう、よかった」
「それから、寝坊ということでもないですし、秘書としての仕事はあくまでも会社でのこと、プライベードでは俺より先にとか考える必要は無いです」
「じゃあ、僕は何をすれば・・」
戸惑う僕に、殺人的な笑顔で
「後片付けをしてください」
「はい・・それだけですか?」
「そうですね~、俺は外食よりも家で食べる方が好きなので哲にも食事を作ってもらいましょうか」
借金を抱えていたから節約のため自炊をしていた、なので凄いものは作れなくても普通の家庭料理くらいなら作れる。
「そんなに美味くはないですが」
「楽しみです」
「では、あと30分くらいで迎えが来ますので、それまでに用意をしておいてください」
淳一はリビングのソファに座って、タブレットで各新聞のチェックを始め、哲は食器を片付けてから、スーツに着替える。
両親の位牌とリングに行ってきますと言ってから部屋を出ると、玄関で淳一が待っていた。
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