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は?聞き違いだろうか?
「僕は男ですよ」
「知っています。いくらあなたが綺麗でも見れば男とわかります」
「だとしても、あなたなら、さっき群がってきた子達から選び放題じゃないですか」
「まぁ、そうですね」と、言いながら顎に手を添える姿が少しキザに見えて、気分が悪い。
冗談じゃない、「それじゃ」と歩き出そうとすると
「誰でもいいなら、相手に困らないのは確かですが、でも、わたしはあなたがいい」
「だから、僕は男で」
イケメンは言葉を遮るように
「田中部長の愛人でしょ」
体が硬直する何より、愛人という言葉にダメージをうける。
あの姿を見て、たしかに恋人とは言いがたい。
言葉だけなら、恋する人より愛する人の方がより愛情が深い気がするが、 実際のイメージは恋人はその人にとって1番で、愛人は1番の人がいてその下に位置するもの。
肉欲だけの存在のような感じがする 何も言えずにいる僕に
「どう?考えてみて」 そう言うと、ポケットから小さな手帳とペンを取り出し、LINEのI.D.を書きこんだあと、そのページを切り取り哲に手渡す。
「ゆっくり考えて、と、言いたいところだけど、明日の昼までにお願いしたい、ただし、それは諦めるということではなくて、それ以降は違う手段を取るということだけど」
「なんでそんなに僕に固執するんですか?部長に着いた悪い虫を駆逐するためですか」
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