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石段を降りきると広い空間が拡がっていた。 「いるなぁ。」
ジューノが苦笑いを見せる。
土から生えたような女、アルラウネが数体。透き通った肌から骨やら内臓まで見える幽鬼ベイコクの一団。その後ろには直立した牛の姿を持った鬼、牛鬼。
その上、降りてきた石段からまで魔物の気配がする。
石段を降りてきた美貌の妖女ルサールカが率いるのは神官の姿をしたオラクルスと、人の心を惑わす美女フーリーの一団。
「団体戦だな。」
ジューノの言葉の端から、サイゼルの前の土が盛り上がりハオカーが前鬼と後鬼を率いて現れる。
ドルースがスパルトイを呼び出すと一体が二体と数を増やしていき、サイゼルが呼んだ骸骨戦士、カワンチャも数体現れた。
「火は効くのか。」
アレンが怒鳴る。
「アルラウネにはな。」
それにジューノが笑いで返す。
「後ろの女の歌声は無視しろ、操られるぞ。」
ジューノが注意を与えると、ミーアが何かを念じだした。
突然土壁が立ち石段との間を遮断する。
「後ろには何が残った。」
「俺のスパルトイとサイゼルのカワンチャだ。」
「それで十分だな。」
ドルースの声にジューノが頷き、
「さて・・・」
向き直った先では火鼠に取り付かれたアルラウネが火達磨になっている。
「残るはベイコクと牛鬼か。」
と言う側から、ハオカーの雷撃を受け牛鬼が粉微塵に吹き飛び、残ったベイコクの一団もアレン達が一気に片付けた。
「行こうか。」
ジューノが歩を進める。
「スパルトイとカワンチャは。」
ドルースの戸惑いの声に、
「戦いが終われば返ってくる。それに土壁は帰るときの目印になる。」
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