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進軍
馬場に勢揃いした若者達の中で馬上のアリアスを見上げ、
「発つか。」
と、老婆が微笑みを与えた。
アリアスは、はい。と笑い顔で返し、
「“光の子”の去就は未だに解りませんがこの旗があれば・・・」
と、蒼き炎の旗を手に表情を引き締めた。
「それに北では大戦が始まり、これ以上の遅延は成りません。」
「どう行く。」
「先ずはフィルリアで同志を集め、バルバロッサを叩きながらオービタス山地を北上します。」
「今さらバルバロッサを叩く必要があるのか。」
「我等が出た後のここいらの安全を確保する為と、フィルリアで集めた者達の訓練の為。」
老婆は頷き、それから。と続けた。
「ルミアス、ロンダニアと廻り、参戦を促します。」
「北へはどう入る。」
「出来ればモアドスも訪れ、その参戦も期待したい所ですが・・時がそれを待ってくれるかどうか。」
「間に合わぬ場合は。」
「山地の隘路を越えて行きます。」
「そこまでの期間は。」
「三から四ヶ月を見込んでいます。
ではお達者で・・・」
「必ず帰ってくるんだぞ。」
老婆はその後ろ姿に大きく手を振った。
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