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「如何でしょうか・・貴方一人の犠牲でこの国ザクセンは救われる。
他国の惨状はご存じのはず。」
キュアはザクセンの総統ディロイを前にしていた。
ディロイの顔に苦悶の色が拡がる。
「それともプリンツやフランツのように・・・」
キュアは思わせぶりな言葉を吐く。
「皇帝ゴルディオスは今ダミオスを攻めていますそこの平定が済めば次はこの国。
国民を見捨てますかな。」
キュアがディロイの目を見る。その身には何本もの槍や剣が突き立っているが彼はそれを気にも留めていない。それどころか彼に槍を剣を見舞った者達は逆にその場に倒れ伏している。
「どうなさいますかな。」
キュアは両手を天に向け、次にその掌を地に向けた。すると息絶えたはずのザクセンの兵士達がピクピクと動き出した。
「こやつらに全てを喰わせることも可能なのですが。」
死人のような光のない目が間近にディロイの目を覗き込む。
「増殖しますよ、こいつ等は。」
「こいつ等をどうにかしろ・・そうすれば・・・」
その眼と動く死人に圧されたかディロイは仕方なさげに同意を表した。
そしてロゲニア王、彼は永遠の命で釣りポルペウスへと呼び寄せた。
骨抜きとなった国々が次々とカルドキア帝国に恭順を示し、属国となっていった。山脈の北で残る国は七つの都市国家が纏まったヴィンツ共和国とその傀儡国家サルジニアだけとなった。
「サルジニアを堕とせば後は南ですな。それで貴方の覇道は完結する。」
「ヴィンツは。」
「放っていても直に枯れます。南に行く為にはサルジニアだけを堕とせば済みます。」
「ではサルジニアへ向かうか。」
「いいえ、そこはカッセルとゾルディエールに任せれば充分でしょう。
その間に貴方には我等が神の洗礼を受けて頂きます。」
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