第五章 崩壊

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 一方アレン達が最初に出会ったのは凶鳥シャックス。  「声を聞くなよ。聞こえても無視しろ。」  「あーん・・・」  何のことか解らず、アレンがジューノを見る。  「こいつは嘘をつく。嘘をついて相手の心を惑わし、その間に思考力や視力、聴力までを盗んでいく。  持ち物にも気をつけろよ。」  「剣が・・・」  ジューノが言う側からミーアの剣が腰から消え去り、シャックスの前で乱舞し始めた。  「チッ、武器は駄目か・・・ならば。」  アレンの形相が変わり爪が鋭く伸びる。それを見て飛び上がろうとするコウノトリの姿をした悪魔に一瞬早くアレンが飛びかかり、鋭く硬い爪でそれを引き裂いた。  「大したものだな。母親か、それとも父親か魔物の血を引くものは。」  ジューノがあきれ顔で言った。  すぐに次の魔物が現れる。白鳥の羽根を生やしたライオン。  「次々と・・・」  アレンがニヤリと笑い、  「こいつは何だ。」  ジューノに問いかける。  「魔獣ウァプラ。戦闘能力が高く、他の魔物を従えている。」  その声の間に、ウァプラの回りの空気が歪む。  「出るぞ、イーヴルが。」  ジューノは呪符を三枚構えた。  歪んだ空気の中から爪が異様に長い腕が伸び、筋肉質の足が出、そして体が出てくる。その体全体に皮膚はなく、大きく隆起した筋肉を直に空気にさらした魔物が次々と出てくる。  それを確認してジューノが三枚の札を投げる。と、札が烏の嘴を持った妖魔、烏天狗に変わる。  「火鼠・・」  「止せ、地獄の業火から生まれたこいつ等に火は効かん。それよりお前はウァプラをやれ。あいつがいる限りイーヴルは次々と出てくる。  ミーアは防御。土の壁の内から矢を放て。それにアズミを呼ぶんだ。カダイはミーアに近づくイーブルを倒せ。」  次々と指示を出し、ジューノ本人は鞭を振る。  アレンは大振りのナイフを手にウァプラに迫ろうとするが、次々と現れるイーヴルがそれを許さない。  「くそッ」  大鎌に手を掛けそれを投げる。四、五体のイーヴルがそれで吹き飛んだ。が、まだウァプラの元には行き着けない。倒す速度と現れる速度がほぼ同じ・・・  「ジューノ手はないか。」  「躱せよ。」  ジューノの三本目の手が現れ印を結ぶ。するとジューノの足下から地面が凍り、それがイーヴルへと向かっていく。  アレンが素早くその氷の道から飛び退く。その向こうでイーヴルが次々に凍り付き、弾け飛んでいく。その隙を狙いアレンの大鎌がウァプラを捕らえた。  「血が・・」  戦い終わって、ミーアがジューノに駆け寄る。  「術を使うときにどうしても動きが止まる。そこをやられた。」  ミーアが一握りの土をジューノの肩口に当てようとする。  「心配要らん。この程度の傷であれば直に塞がる。」  ジューノの肩口の傷がブクブクと白い泡で覆われ、それが消えたときには傷口も消え去っていた。
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