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第一章 幼子
家族
七つの都市国家を目指す二人の若い男女に連れられた幼い子供が、オービタス山地の北の麓の小さな村に着いた。
長く旅の空にあったらしく、垢じみた服と長く伸びたぼさぼさの髪。
三人はよろめくように村に入った。
誰もがこの汚らしい親子を横目で見、眉をひそめて遠ざかっていった。
三人がふらふらと歩いていると、口は悪いが親切ごかした男が彼等に声を掛けた。
「汚ねえな。
お前等、臭うぞ。
町はずれの森の中に泉がある。そこで体を洗うんだな。」
と、北を指さした。
男の指さす方向には、街並みの間を通して確かに木々に被われた一角が見えた。
「躰を清めたら・・・悪いようにはせん。
儂のところへ来るがよい。」
男は、若い女の身体を舐め回すように見ながらそう言った。
「儂の家はこの先、あそこに見える石造りの家だ。」
男は街の広場近くの唯一軒だけの大きな家を指し示した。
言われるまま若い男女は村はずれの泉の畔で素裸になり、冷たい水で身体を清めた。その間、幼い子はその姿を只ぼんやりと眺めていた。
「ほんとにこの子は大丈夫なのか。」
「そんなふうに言わないで・・・、クルス。」
若い女は子供を抱き上げ、泉の水で丹念にその子の身体を洗い上げた。
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