病室での淫ら

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病室での淫ら

 そして。 「あっ」 「あ……」  俺と剣の声がハモる。  恥ずかしいかな、さっきのハードなキスで俺の体が反応してしまったのだ。  そのことは俺に覆いかぶさるようにしている体勢の剣にも気づかれたようだ。 「ま、ままま間違い。これは何かの間違いだから」  入院している身だというのに、そこを元気にさせてる自分が情けない。  でも剣は優しく微笑んで。 「しばらく大人しくしてろよ、信一」  そう言うと、布団の中に手を入れて来た。 「な、何をあっ……」  俺の声が跳ね上がる。  剣が俺の昂ぶりをパジャマの上から愛撫して来たのだ。 「すごく元気だな、さすが十代」 「やっやめ……」 「やめない。大人しくして……体をあんまり動かさないで」 「あっ……あ……」  剣は下着の中に手を入れて来て、俺の性器を直に愛撫して来た。  俺の体の弱いところは全て知り尽くしている剣はあっという間に俺を絶頂へと導いていく。  そして俺は剣の手の中で射精した。  剣は俺のもので濡れた手をわざと俺に見せつけるようにすると、舌でそれを舐めて見せる。  殊更淫らに。  殊更いやらしく。 「いつも思うんだけど、信一のこれって美味しいよな」 「……っ……そんなの美味しいはずないっ。剣が変態なだけだろ」 「俺が変態だっていうなら、それは信一の所為だから」  剣はそんなふうに言うと再び俺に覆いかぶさって来て、キスをした。  剣の唾液に混じる微かな苦みは俺が放った精液の味だろうか。  だとしたら、やっぱり全然美味しくなんてない。  剣が変態なだけだ。
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